肉体

   肉体

どんな時も どんな日も

僕が自分という肉体から

抜け出せたことはない

涙に暮れた日も

怒りに震えた日も

肉体は僕を開放しなかった

心が怯え

気持ちが萎えても

どこへも行けやしない

ここが僕の居場所だろうか

どこに逃げれば 自由になれるのか

空を仰ぎ救いを求める

1羽のカラスが鳴きながら

山の向こうへ飛んで行った

陽が沈む

僕の瞳を赤く染める夕焼け

光を浴びた僕の体が

黄金色に輝いた

形ある姿が備わったものだけに

与えられた美しさ

かたく握りしめた拳を開く

どんな時も どんな日も

僕が肉体から守られていたのだ

両手を高く掲げ 背を伸ばす

この肉体が少しでも楽になるように

人の皮膚

人の皮膚が、ぶにょぶにょしているのを、

僕は不思議に思っています。

人がどうして、こんなに柔らかい肌をしているのか、

他の動物に狙われた時のことを考えると

危険で仕方ありません。

生き残ることを考えれば、

柔らかい皮膚のメリットは

無いような気がします。
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※TIME誌に僕の記事が掲載されました。

ご興味のある方は

ここをクリックしてください。

見えない

みんなと同じ景色を見ていても、

見ている所が違うせいか、

僕はみんなが話している内容が、

目に映っている景色の中のどこにあるのか

わからないことがあります。

顔を動かしてもらっても、

眼球まで動かしてもらうことは出来ません。

右とか左とか、そことか、あそことか、

いろいろな言葉で教えてもらいますが、

僕には、わからないことの方が多いです。

そんな時は寂しいと言えば、寂しいですが、

それほど気にしているわけではありません。

自閉症の僕にしか

見えていない世界もあることを知り、

見たくても見えない世界があるのは、

普通の人も同じような気がします。

見習う

仕方なく生きている動物は、

いないと思います。

どんな動物も、みんな必死で生きています。

生きること以上に大事なことなどない

という感じです。

生きることに迷いがない。

それを見習わなければいけないのは

人間の方かもしれません。

動けない理由

注意して聞いて欲しい時、

「よく聞いて」と言って、

同じ内容を繰り返し話されることがあります。

よく聞いても、聞かなくても、

僕は、その指示にすぐには従えないことが多いです。

よく聞けば出来ると思う人は、

動けない理由が記憶にあると

思っているからかもしれません。

出来なくて怒られるのは仕方ありませんが、

出来ない理由がずれていると、

何だか少し腹が立ちます。

プロフィール

東田直樹

Author:東田直樹
会話のできない重度の自閉症。自閉症、絵本、詩集など21冊の本を執筆。東京大学(2回)、福岡女学院大学ほかで、講演会を開催。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、援助無しでのコミュニケーションが可能。

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