肉体

   肉体

どんな時も どんな日も

僕が自分という肉体から

抜け出せたことはない

涙に暮れた日も

怒りに震えた日も

肉体は僕を開放しなかった

心が怯え

気持ちが萎えても

どこへも行けやしない

ここが僕の居場所だろうか

どこに逃げれば 自由になれるのか

空を仰ぎ救いを求める

1羽のカラスが鳴きながら

山の向こうへ飛んで行った

陽が沈む

僕の瞳を赤く染める夕焼け

光を浴びた僕の体が

黄金色に輝いた

形ある姿が備わったものだけに

与えられた美しさ

かたく握りしめた拳を開く

どんな時も どんな日も

僕が肉体から守られていたのだ

両手を高く掲げ 背を伸ばす

この肉体が少しでも楽になるように

プロフィール

東田直樹

Author:東田直樹
会話のできない重度の自閉症。自閉症、絵本、詩集など21冊の本を執筆。東京大学(2回)、福岡女学院大学ほかで、講演会を開催。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、援助無しでのコミュニケーションが可能。

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