花びら

散りゆく桜の花びらは、どこに行くのだろうと

想像することは、誰にでもあるかもしれませんが、

僕の場合は、空想の世界で花びらになりきって

旅を始めます。

山に行ったり、川に潜ったりするだけでなく、

誰かの家に行ったりもします。

その後も、人間に戻るわけではなく、

分身みたいな感じで、桜として、そこに居続ける

僕がいるのです。

人間の僕は、時々、桜の僕に会いに行きます。

たくさんの花びらの中から、花びらの僕を見つけると

「やあ」と声をかけて、立ち去ります。

桜の僕は、ひらひら舞うだけですが、

幸せそうに生きています。

プロフィール

東田直樹

Author:東田直樹
会話のできない重度の自閉症。自閉症、絵本、詩集など21冊の本を執筆。東京大学(2回)、福岡女学院大学ほかで、講演会を開催。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、援助無しでのコミュニケーションが可能。

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