眠りに着く時

僕は、眠りに着く時、そこにあるものを

じっと見ます。

そこにあるものとは、目の前にある壁や天井、

家具ではなく、目に入り込んでくる空気です。

意識しなければ存在すらない。

けれども、確かにそこにあって、

僕に大切なことを教えてくれる。

自分の目の中で空気が漂う間、

僕は気持ちを無にします。

帰らぬ時間への寂しさはありません。

こんな静かな時間を過ごせることに

感謝しながら、

僕の一日は終わります。

プロフィール

東田直樹

Author:東田直樹
会話のできない重度の自閉症。自閉症、絵本、詩集など21冊の本を執筆。東京大学(2回)、福岡女学院大学ほかで、講演会を開催。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、援助無しでのコミュニケーションが可能。

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