僕が僕に言う言葉

僕には、独り言のように、自分に向かって言う

言葉があります。

「何やってんの」

「ダメでしょう」

「怒るよ」などです。

僕は、普段の生活では、奇声を上げたり、

何かで覚えた単語、フレーズなら言えますが、

その場に適した言葉や、普通の会話をすることは

できません。

そのため、自分を励ますつぶやきも、他の人から

言われた言葉しか出てきません。

話せないから、文字盤やパソコンを使っているわけ

ではなく、自分の考えや気持ちを表現しようとすると、

頭の中が、真っ白になってしまうからです。

消えてしまう僕の本当の言葉をつなぎとめて

おくために、アルファベットの文字を見ています。

内面を表現することは、まだまだ僕にとって

大きな労力を必要とします。

僕がつぶやく言葉は、人が注意を受ける際に

普通に使われている言葉です。

しかし、この僕のつぶやく言葉が気になる人が

いるみたいです。

人は、自分が関心を持っている言葉に

反応します。

心が、そちらに向くのだと思います。

それが、なぜかは、その人にしか

わかりません。

プロフィール

東田直樹

Author:東田直樹
会話のできない重度の自閉症。自閉症、絵本、詩集など20冊の本を執筆。東京大学(2回)、福岡女学院大学ほかで、講演会を開催。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、援助無しでのコミュニケーションが可能。

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