走る

昔は「走って」と指示されても、

僕は走れませんでした。

走るのを意識したとたん、

どのように手足を動かせばいいのか、

わからなくなってしまうせいです。

楽しくて走っているというより、

動いている方が、僕にとって

自然の状態だったのです。
 
全速力で、走り回っていても、

自分が走っていることに、

気づいていなかったのでしょう。

僕は、目の前の景色が流れていると、

爽快な気分でした。
 
目的地があるわけでも、誰かと競争を

しているわけでもなく、ただ、移り変わる景色の中に

身を置きたかったのです。

立ち止まれば、たちまち退屈でつまらない日常の

始まりだからです。

走っている僕は、勝利を目指すランナーとは

違いましたが、走る楽しさは、誰よりも

知っていたのではないでしょうか。

プロフィール

東田直樹

Author:東田直樹
会話のできない重度の自閉症。自閉症、絵本、詩集など21冊の本を執筆。東京大学(2回)、福岡女学院大学ほかで、講演会を開催。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、援助無しでのコミュニケーションが可能。

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