善い人間

僕の考えている善い人間というのは、

どこにも落ち度がない人ではありません。

悪人の反対の意味でもないです。

自分の良心に従って、正直に行動する人のことです。

人というのは、人の中でしか生きていけません。

食べることも、農家の人たちや販売の人たちの

おかげですし、病気になれば病院に行き、

困ったことがあれば、役所や警察に相談します。

みんな集団の中で、守られた生活をしているのです。

善い人間になりたいというのは、誰もが考えることです。

なぜなら、誰かの役に立ちたいという気持ちは、

集団で生きる人間にとって、重要な条件だからです。

奉仕の精神のおかげで、人類は現在まで生き延びて

来られたのでしょう。

人付き合いが下手とか、集団が苦手という人が、

善い人間になれないわけではないと思います。

誰の役にも立っていないように見える人も、

善い人間になれないと落ち込む必要もありません。

僕のいう「良心」とは、人を否定しない心であり、

「正直に行動する」とは、今、自分ができる精一杯の行動

だと思っています。

けれど、僕自身も、まだまだ善い人間にはなれていません。

善い人間にも、普通の人間にも平等に明日はやって来ます。

それが、有難くもあり、申し分けなく感じるのも、

人間だからでしょう。

命は大切なものです。

人が人の命を奪うことは許されません。

それは、人が生きていく上で、

絶対に忘れてはいけないことだと思います。

死ぬことで得られるものなどあるのでしょうか。

悲しみの連鎖は、断ち切らなければならないのです。

それが、これからの人類の大きな課題です。

苦しんでいる人たちの心身の傷が、

少しでも癒えることをお祈りしています。

動物と人間

動物を擬人化している時、人は善い人間になりたい

と思っているのではないでしょうか。

必要以上にかわいそうだと言ったり、

自分の生活に当てはめて考えたりするのは、

かえって動物が気の毒になる場合があります。

動物には動物の暮らしがあり、

人には人の暮らしがあります。

善い人間というのは、人間にとっての善い人です。

社会

自閉症であることを、恥ずかしいと思う必要は

ありませんが、自慢することでもありません。

配慮してもらうことは、権利かもしれませんが、

義務とはいえません。

僕自身も、他の障害者や病気の人たち全ての人に

対して配慮できてはいません。

どうしてなら、人にはそれぞれ事情があるからです。

誰を、どう助けるか、最終的には、

個人が判断することです。

多くの人の意見が反映されて、社会は成り立っています。

それでも、何とかいい社会を作りたいと、みんなが

願っています。

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引き算

「引き算」というのは、とても興味深いです。

増やすのは、人にとって「徳」ですが、

減らすのは「損」です。

大昔の人は、どうやって引き算を考え出したのか、

関心があります。

どうして、あるものから何かを引いたのか、

そこにある思考に、損得以外のものがあったのか、

あったとしたら、それは何か、思いめぐらすだけでも、

わくわくします。

引き算が生まれたのは、たまたまではなかったのでしょうか。

たまたまは、奇跡ではありません。

誰もが、一度は目にするようなことです。

しかし、誰もあまり興味を持たなかったからこそ、

世の中に広まったのではないかと思っています。

何だかわからないけれど、消えることはない。

気が付けば便利なものだった。

そんな感じで引き算は、いつの間にか

世の中に定着したのではないでしょうか。

プロフィール

東田直樹

Author:東田直樹
会話のできない重度の自閉症。自閉症、絵本、詩集など20冊の本を執筆。東京大学(2回)、福岡女学院大学ほかで、講演会を開催。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、援助無しでのコミュニケーションが可能。

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