カラオケ

僕は、時々支援員さんとカラオケに行きます。

普通の会話をするのは難しい僕が、

歌を歌えるのを不思議に思う人も

いるかもしれませんが、

会話ができないのに歌は歌える

という重度の自閉症者は多いです。

このような人は、意味不明な独語を話したり、

オウム返しで話したりすることもあります。

歌を歌っている間、僕は歌詞の中の

主人公になった気分で楽しいです。

つかの間ですが、自分がヒーローになれたり、

憧れた環境の中で生きたりすることが

できるからです。

文字の形

僕は、文字の形そのものを見て、

おかしくて笑ってしまうことがあります。

漢字の角のかくかくした角度は

字によって違いますが、とんがっているものは

怒っているように見えます。

ひらがなの丸みが可愛く見えたり、

点の部分が寂しそうに見えたりもします。

文字にも性格があるような気がするのです。

絵や写真を見るのが好きな人がいるように、

文字の形に惹かれる人もいると思います。

声の大きさ

僕は、声が大きいです。

うるさくないのかと聞かれると、僕自身は

うるさいと思ったことはありません。

自分で自分の声がうるさいと思う人は、

あまりいないのではないでしょうか。

それが奇声でも、こだわりの言葉の繰り返しでも、

僕は、自分の声がうるさいとは感じません。

しかし、他の人の声だと、大きい声はうるさいです。

相手が自閉症者でも、普通の人でも、

うるさいものはうるさいです。

だから、僕の声も、うるさくてすみません。

走ること

小さい子が、運動会で走っている姿を見ると、

自分の走るコースがよくわかっていると感心します。

幼稚園の頃の僕は「よーいどん」と言われても、

走り出すこともできませんでした。

背中を押されて、数歩前に出ても、

どこをどう走ればいいのかわからず、

僕は立ち止まってしまうか、

コースから飛び出し、ブランコや滑り台がある

遊具の所に走り出していたのです。

練習しても、僕がひとりで決められたコースを

走れるようにはなりませんでした。

当時の僕には、コースのラインもゴールのテープも

見えていなかったのでしょう。

それでも、運動会の記憶が、

嫌な思い出として残らなかったのは、

周りの人がにこにこして、

僕を応援してくれたおかげです。

電車

僕は、電車のガタゴトという音が好きです。

それは、一定のリズムがあるからというより、

今、電車に乗っているのだと、

自分で実感できるからです。

電車の動画を見ている時も、

ガタゴトという音を聞くと、僕の目の前には、

電車に乗った時のような、きれいな風景が

広がります。

これは、実際に風景が見えているわけではなく、

頭の中のイメージですが、

その間は旅をしているような気分になり、

楽しいです。

プロフィール

東田直樹

Author:東田直樹
会話のできない重度の自閉症。自閉症、絵本、詩集など20冊の本を執筆。東京大学(2回)、福岡女学院大学ほかで、講演会を開催。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、援助無しでのコミュニケーションが可能。

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