内面の表出

僕は、内面を表出できない人が、

思いを伝えられないままでいいと

考えているはずがないと思っています。

自分の気持ちを伝えられないことが、

どれほど辛くて悲しいか、僕は知っています。

困っている人がいれば、その人がどんな心境なのか、

自分に置きかえて考えてみると思いますが、

なぜ、相手が自閉症者だと、全く違う種類の

人間のようにみてしまうのでしょうか。

感性や価値観、知能が違っても、

感情は、どんな人も変わらないと思います。

みんな自分のことを、わかってもらいたいのです。

話せなくても構わないと考えるのは、

そう思うことでしか、自分の気持ちを

整理できない周りの人ではないでしょうか。

話せないことが不幸とは限りませんが、

だからといって、話せないままでいい

ということの理由にもなりません。

どうしたら、その人とコミュニケーションできるようになるかは、

一人一人違うでしょう。

それでも、言葉を表出できない人とのコミュニケーションを、

あきらめないで欲しいと僕は思っています。

話せることと幸せ

僕は、家族には幸せであってもらいたいと

願っています。

しかし、だからといって、家族が幸せなら、

僕が幸せとは言い切れません。

なぜなら、家族と僕は、ひとりひとり、

別々の人間だからです。

ただ、家族が不幸であれば、

僕も悲しい気持ちになり、

僕だけ幸せを感じることはないと思います。

話せる人同士の会話を聞いていても、

十分に相手の気持ちを

わかり合っているとは言えないような

気がします。

僕は、どうしたら相手の気持ちがわかるのか、

その答えを持っているわけではありません。

けれども、話せないから不幸で、話せるから幸せとは

限らないことを知りました。

子どもの幸せを願い、努力し続ける親御さんのことは

立派だと思っています。

自己肯定感

昨日のブログで、僕が伝えたかったのは、

表情が、相手の心の全てではない

ということです。

話せない人なら、なおさらです。

にも関わらず、相手の気持ちを、

見た目だけで判断することに、

疑問を感じています。

自分の心さえ、わからないのが

人間ではないでしょうか。

相手を見て、わかるのは

相手の気持ちではなく、

自分が相手を見て、

どう感じているかではないでしょうか。

「楽しいんだね」ではなく

「楽しそうに見えて、私は嬉しい」という

自分の気持ちです。

僕は、自分が本当は楽しくなくても、

僕を見て嬉しいと思ってもらえるなら、

僕も嬉しいです。

その人の気持ちは、その人にしかわかりません。

だからこそ、決めつけないで欲しいのです。

相手が話せなくても、

相手の気持ちがわからなくても、

自分の気持ちを伝えることは

できると思います。

大切なのは、自分が相手のことを

大事に思っていることを、

相手にわかるように伝えること

ではないでしょうか。

それが、自己肯定感を高めることに

つながるような気がします。

表情

僕は、にこにこしている時は、機嫌がいいと

思われていますが、僕自身は自分が、いつ

どんな顔をしているのかわかっていません。

自分で、表情をつくることもできません。

みんなが、僕を見て、楽しそうとか、喜んでいるとか、

怒っているとか、寂しそうとか言います。

でも、それは、当たっていないことの方が

多いです。

みんなは普段、そんなに自分の感情を

表に出すのでしょうか。

会話が苦手な自閉症者の場合、

外見の表情や態度が、当事者の意思だと

思われる根拠はなんでしょうか。

褒められること

僕は、どうしてすぐに人に注意されるのか、

小さい頃はわかりませんでした。

辛いばかりで、何を言われているのかもわからず、

自分が悪い子だという現実に、

押しつぶされそうになりました。

それなら、怒られないような環境をつくればいい

と考える人もいるでしょう。

今も、僕は注意されてばかりです。

それは、僕が悪いからだと自覚しています。

どうしても治らないこともあります。

それでも、諦めずに注意して欲しいと、

僕ならそう思います。

小さかった僕を支えてくれたのは、

ほめられた記憶ではありません。

こんな僕でも、途中で投げ出すことなく

愛情を注ぎ続けた人が

いてくれたおかげです。

褒められて伸びる子は、確かにいると思います。

ただ、それだけではだめだということにも、

みんな気づいているのではないでしょうか。

プロフィール

東田直樹

Author:東田直樹
会話のできない重度の自閉症。自閉症、絵本、詩集など20冊の本を執筆。東京大学(2回)、福岡女学院大学ほかで、講演会を開催。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、援助無しでのコミュニケーションが可能。

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