過程

どきどきしながら、時を過ごす人がいます。

何も考えず、時を過ごす人がいます。

どちらも、その時間は、結果とは、直接関係がないことかも

しれません。

けれども、人にとっては、そこにたどり着くまでの過程も

重要ではないでしょうか。

それは、どんな時間にも、自分の思いがあり、生きていく上で

なくてはならない時間だからです。


記憶

話している時は気づかないことでも、

後であんなことは言わなければよかった

と思うことはないでしょうか。

自分を責めていても、そんな時でさえ、

ある時期を境に、そのこと自体を忘れてしまい

二度と思い出さないことがあります。

かと思うと、たいした会話でもないのに、

時間が経っても、よく覚えているということも

あります。

どういう基準で人の脳が、思い出に残すものと

残さないものを選別しているのか、

僕にはわかりません。

確かなことは、人の力で、記憶をコントロールすることは

難しいということです。

しかたないほどできないこと

しかたないほどできないなら、あきらめることは

決して悪いことではないと思います。

できることが良い、できないことが悪いのでは

ありません。

枠にはまったような人生しか送れない自分が、

できない自分をいじめるのです。

金縛り

僕は、金縛りになったことがありませんが、

金縛りにあった人の話を聞いていると、

大変な状態なのがわかります。

痛いし、怖いし、動けないし、いいことは

ひとつもなさそうです。

僕が、金縛りにあったら、どうするでしょうか。

「なぜ、体が動かないのだろう」と考えるのでしょうか。

僕は、行動のコントロールが、うまくできません。

自分の意志とは関係なく、こだわり行動をし続けたり、

奇声を上げたりします。

でも、自分が動かそうと思った時に、体が動かなかった

ことは、ありません。

じっとしていられない人にとって、金縛りは

未知の世界ではないかと思います。

重度の自閉症者で、金縛りにあったことのある人は

いるのでしょうか。

ぼーっとできる時間

どんなに忙しい人でも、一日の中で自分らしくいられる時間

というのが、あるのではないでしょうか。

それは、自分の好きなことをやっているときだったり、

ぼーっとしているときだったり、一人一人違うでしょう。

僕にとっては、景色を見ているときが、そんな時間です。

電車の窓から外の景色を眺めていると、

嬉しかったことも、悲しかったことも、

遠い過去のことのように思えます。

自分が何者であるかなんて考えません。

過去からも未来からも、解き放たれる。

ただ、そこに存在する一人の人間になる時間が、

僕は好きです。

プロフィール

東田直樹

Author:東田直樹
会話のできない重度の自閉症。自閉症、絵本、詩集など14冊の本を執筆。東京大学(2回)、福岡女学院大学ほかで、講演会を開催。パソコンおよび文字盤ポインティングにより、援助無しでのコミュニケーションが可能。

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